大相撲の呼出の給料はいくら?立呼出の年収と驚きの裏方格差を解剖
大相撲の取組前、独特の美声で力士の名を朗々と呼び上げる「呼出(呼び出し)」。扇子を広げて土俵に立つ優雅な姿は本場所の中継でもおなじみですが、その日常は単なるアナウンス係にとどまりません。土俵を一から築き上げる重労働から太鼓叩き、懸賞旗の管理まで、大相撲の興行そのものを根底から支える職人集団です。
土俵の華である力士たちの高額な懸賞金や給与が話題に上る一方、裏方である呼出の懐事情は長らく厚いベールに包まれてきました。最高峰の「立呼出」になればどれほどの収入を得られるのか、そして入門したばかりの若手との間にはどのような格差が存在するのか。日本相撲協会の公式規定や関係者の証言を丹念に紐解き、知られざる給与体系と過酷な仕事の実態に迫ります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:呼出の給料は日本相撲協会の給料規定によって厳格に定められており、初任給約14万円の序ノ口から年収1000万円前後に達する立呼出まで明確な階級格差がある。
- 要点2:呼出は単なる呼び上げ役ではなく、職人技が求められる「土俵作り」や太鼓、進行補佐など過酷な肉体労働を担っており、各種手当や賞与が支給される。
- 要点3:定員わずか45名の狭き門であり、完全な年功序列と実力評価が交錯する世界で、定年65歳まで相撲界に人生を捧げる専門職である。
【階級別一覧】相撲の呼び出しの給料・年収事情|初任給から立呼出まで
大相撲の呼出は、力士と同じく完全な階級社会に生きています。日本相撲協会の給与規定において、呼出は協会の専従職員として位置づけられており、番付の序列に応じた本給が毎月支給される仕組みです。一般企業の基本給にあたる本給に各種手当や年2回の賞与が加算され、最終的な年収が決定します。
現在の番付制度における呼出の階級別年収と月給の目安を整理すると、以下の通りピラミッド構造の格差が浮き彫りになります。
- 立呼出(たてよびだし):本給月額約36万〜40万円/推定年収約800万〜1000万円
- 副立呼出(ふくたてよびだし):本給月額約30万〜38万円/推定年収約700万〜850万円
- 三役呼出:本給月額約25万〜30万円/推定年収約550万〜700万円
- 幕内呼出:本給月額約20万〜25万円/推定年収約400万〜550万円
- 十両呼出:本給月額約16万〜20万円/推定年収約300万〜400万円
- 幕下呼出以下(三段目・序二段・序ノ口):本給月額約14万〜16万円/推定年収約200万〜280万円
相撲界の最高峰に君臨する立呼出クラスになれば、一般企業の大手管理職に匹敵する安定した待遇を受けられます。その一方で、下位の若手呼出は本給14万円台からのスタートとなり、土俵上の華やかさとは裏腹に、厳しい下積み生活を耐え抜かなければなりません。
頂点に君臨する「立呼出」と「三役呼出」の月給・推定年収のリアル
呼出の序列における頂点が、結びの一番などを呼び上げる「立呼出」です。行司における「立行司(木村庄之助・式守伊之助)」と同格の重責を担い、呼出全体の統括役も務めます。
この立呼出の給与は、規定上の本給だけで月額36万円以上、上限では40万円前後に達します。さらに本場所ごとの手当や巡業手当、年2回のボーナス(賞与)が加わるため、年間総支給額は800万〜1000万円規模に達するのが通例です。不祥事による空位期間などを除けば、長年土俵を支え続けた功労者として相応の厚遇が用意されています。
立呼出に次ぐ地位である三役呼出の月給は25万〜30万円程度で推移し、各種手当を含めた年収は600万円前後となります。三役以上の呼出になるためには、30年から40年近い歳月を土俵裏で過ごし、美声や所作の美しさはもちろん、土俵築きの技術や後輩への指導力など、裏方としての総合力を認められなければなりません。定員わずか1名の立呼出、数名の三役呼出の椅子を勝ち取る道のりは極めて険しいものです。
初任給は約14万円?序ノ口呼出の下積み生活と「大相撲裏方の年収事情」
華やかな上位陣とは対照的に、入門したばかりの序ノ口呼出の初任給は本給で月額約14万円と定められています。額面だけを見れば一般的な高卒初任給を下回る水準ですが、大相撲の裏方には相撲部屋ならではの生活保障が存在します。
若手呼出は所属する相撲部屋に住み込みで生活するため、家賃や光熱費はかからず、部屋のちゃんこを食べるため日々の食費も実質無料です。手取り額の多くを自由に使える環境にあるため、月給14万円前後であっても生活破綻に直結するわけではありません。
しかし、大相撲裏方の年収事情を俯瞰すると、十両呼出に昇進するまでの20代前半から中盤にかけては、年収200万円台から300万円台前半にとどまります。同世代のサラリーマンが昇給していく時期に、土俵の泥にまみれながら薄給で下積みを続ける覚悟が問われる現場です。
行司と呼出の給料格差はあるのか?歴史的背景と日本相撲協会の待遇変化
大相撲の裏方を語る上で避けて通れないのが、行司と呼出の給料格差をめぐる歴史です。かつての大相撲において、行司は中世以来の伝統を持つ格式高い存在とされ、番付表にも大きく名前が掲載されていました。これに対し、呼出は江戸時代からの抱え人や雑役係としての扱いが長く続き、番付に名前すら載らない「日陰の存在」とされていた時代があります。
昭和中期までは給与体系にも明確な格差が存在し、呼出の待遇改善を求める声は協会の火種でもありました。大きな転機となったのが1994年(平成6年)の番付改定です。この改革によって呼出も正式に番付表へ名前が記載されるようになり、日本相撲協会の給与規定においても行司や床山とほぼ同等の階級体系・給与テーブルが整備されました。
現在では、立行司と立呼出、幕内行司と幕内呼出の基本給水準に大きな隔たりはありません。ただし、行司は高価な装束(烏帽子や直垂)を自前で新調・維持する費用負担が重い一方、呼出の着物や帯は巡業先やタニマチ、部屋から贈られるケースが多いなど、手元に残る実質的な経費構造には細かな違いが見られます。
土俵作りから太鼓まで!呼出の過酷な仕事内容と各種手当・退職金制度
呼出の業務は、取組時に「ひが〜し〜」と力士を土俵へ招き入れるだけではありません。彼らの真骨頂は、職人技の結晶である呼出の仕事内容と土俵作りにあります。
本場所前になると、呼出全員が総出で両国国技館などの会場に入り、荒木田土(あらきだつち)と呼ばれる粘土質の土を用いて、数日かけて巨大な土俵を叩き固めます。重いタコ(叩き棒)を何千回、何万回と振り下ろし、ビール瓶を使って表面を滑らかに磨き上げる作業は過酷を極める肉体労働です。巡業先でも早朝から土俵設営を行い、本場所中は土俵の補修、力士に渡す力水や塩の補充、時間掲示、懸賞旗を持っての土俵周回など、息つく暇もありません。
こうした激務を支えるため、基本給のほかに手厚い諸手当が用意されています。
- 幕内呼出の手当:本場所手当(場所ごとに数万〜十数万円)、巡業手当(1日あたり数千円)、装束手当などが支給され、年収の底上げにつながります。
- 相撲呼出の退職金と手当:勤続年数に応じて日本相撲協会から手厚い退職金が支給される退職金制度が確立されており、長年勤め上げたベテランには老後の安心が担保されています。
力士のように怪我で番付を落として即無給になるリスクがない点は、サラリーマン的な安定性を持つ裏方ならではの強みです。
呼出になる方法と採用条件|定年制度とキャリアパスの実態
土俵を支える呼出を目指す場合、どのようなルートが存在するのでしょうか。呼出になる方法と採用条件は、相撲協会の規定によって厳密に定められています。
入門資格は原則として「義務教育を修了した満15歳以上、19歳未満の男子」とされています。相撲部屋に入門して師匠の推薦を受け、相撲協会に採用伺いを出すことで正式な呼出としてのキャリアがスタートします。事前の特別な資格や経験は不要ですが、美声の素質や過酷な肉体労働に耐えうる体力が必須です。
最大の障壁は、協会規定による定員枠です。呼出の総定員は原則45名以内と厳格に定められており、誰かが退職・引退しない限り、新規採用枠が生まれません。空きが出たタイミングでしか入門できない、非常に狭き門です。
キャリアパスは完全な年功序列と勤務評価に基づき、序ノ口から段階的に昇進します。呼出の定年制度は満65歳と定められていますが、近年の制度改定により、希望者は再雇用制度(嘱託)を利用して最長70歳まで協会に残ることが可能になりました。土俵作りの高度な技術や呼び上げの伝統を後世に継承するため、ベテランの職人技は相撲界全体にとってかけがえのない財産となっています。
【相撲 呼び出し 給料】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:呼出の給料は、呼び上げる取組の力士の勝敗によって変動しますか?
A1:一切変動しません。呼出は日本相撲協会の専従職員として月給制で雇用されているため、勝敗に関係なく定められた基本給と手当が毎月支給されます。力士のように勝星による報奨金増額などはありません。
Q2:呼出はボーナス(賞与)や退職金を本当にもらえるのですか?
A2:支給されます。相撲協会の規定に基づき、年2回(夏・冬)の賞与が本給の数ヶ月分支給されます。また、退職時には勤続年数に応じた退職金制度が整備されており、一般の正社員に近い福利厚生が適用されています。
Q3:大人になってから中途採用で呼出になることはできますか?
A3:原則として不可能です。採用条件は義務教育修了(15歳)から満19歳未満と定められており、一般企業のような中途採用枠はありません。若いうちから部屋に住み込み、相撲界の伝統的な礼儀作法や技術を叩き込む徒弟制度が維持されています。
まとめ:今後の展望と注目ポイント
大相撲の土俵を裏から支える呼出の給与は、若手の月給約14万円から頂点である立呼出の年収1000万円前後まで、明確なピラミッド構造を描いています。土俵築きや太鼓演奏といった過酷な重労働を担いながら、何十年もかけて階段を一歩ずつ登り詰める職人の世界です。
定年延長による技術伝承や福利厚生の整備が進んだ現在、呼出は大相撲の伝統美を次世代へ繋ぐかけがえのない専門職として、その重要性をますます高めています。次に大相撲を観戦する際は、土俵下で響く張りのある美声と、見事に固められた美しい土俵そのものにもぜひ注目してみてください。 (出典: 相撲 呼び出し 給料(Yahoo!ニュース))